世代交代

物理の話と違うことばかり書いてる気もします。研究の話もたまにはかけって感じかもしれませんが、書きません。気が向いたら書きます。


相撲が好きなもので、横綱の世代交代という観点から。


横綱は活躍期間が長くても10年60場所で、白鵬も明日からの九月場所が61場所目である。

というわけで、いつ引退してもおかしくなく、「空白の期間」になってしまわないかという危惧が常にある。


もっとも、横綱といっても「大横綱」と言われる横綱と、冴えない横綱といるわけで、世代交代はやはり当代の大横綱ないしそれに近い力士同士での世代交代がどうかということに注目するのがいいように思うわけで、そこに注目したい。


世代交代が大横綱(優勝回数20回以上の力士として定義)同士でうまくいったと思われる例としては

北の湖⇒千代の富士

朝青龍⇒白鵬

だろうか。特に後者は朝青龍の勢いに幾分陰りが見えてきた時期に期待の新星が現れ、のちに3年にわたって大横綱同士が東西に君臨する「理想の」世代交代だろう。


一方で世代交代に失敗した例としては千代の富士引退後に1年程度で全横綱が引退して曙が昇進するまでの「横綱空位」だろう。


白鵬、朝青龍、貴乃花、北の湖のように早く横綱に昇進した力士もいる一方で、稀勢の里、隆の里、琴桜など遅く昇進した力士もいて、昇進時期だけを見ていても「世代交代」として機能していないとわかる昇進もある。


今の横綱白鵬、日馬富士、鶴竜、稀勢の里の4横綱はほとんど似た時期に生まれ、似た時期に入門して、年長の日馬富士と年少の稀勢の里でも2歳差くらいである。世代としてみれば「豊作」の世代というわけだ。


その後ろの世代は誰一人横綱になれていないので、このままいくと「暗黒の世代」になってしまう。


前回の失敗例「横綱空位」はどうかというと、35歳で引退した千代の富士ののちにこぞって中小の横綱が引退したが、たとえば引退時北勝海、大乃国は28歳。世代交代が失敗したというように見えがちだが、じつは千代の富士が異常に長く活躍した割に次の世代が横綱になって実績を作ってはいたものの高齢化し引退リスクを持つ時期にさしかかっていたという前提があって、なおかつその上で空白世代が下に待ち構えていたというのが実情である。


とはいえ、北勝海と曙は6歳差。北勝海引退後1年で曙が出てきたわけで、北勝海があと一年持てば空白は避けられた。


今の4横綱、仮に誰かが35歳まで綱を張り続けたとしても、その8年下あたりまででだれか横綱になる気配があるか。つまり、空位直前の千代の富士に誰かが相当する状況になって、そのときの北勝海に当たる力士はいるのか。今32歳の白鵬が千代の富士相当だとして、24歳前後の力士で有力者。唯一、大関照ノ富士がいるが、彼は大関昇進後に無理をしてもはや昇進は望みなく映る。高安は既に北勝海の引退時の年齢に近い。


となると今もし可能性があるのは御嶽海あたりか。御嶽海は大学出身。大学出身で横綱に昇進して実績を残すのは難しい。白鵬にせよ貴乃花にせよ、中卒で叩き上げ、それで力士生活15年で30歳を迎えるというのが多くの大横綱の辿ってきた道。


だが、じつは既に実績がある。輪島は大卒で優勝14回。

御嶽海が横綱になれば白鵬から見て8歳下。しかしそれでも今の時点で24歳。6年の空白で空位にまでなった過去の実績がある。18歳以上で相撲界の有力者がいるか。


いなくもない。貴景勝は21歳。今の10代後半から20代前半世代はその上世代よりはいくらか

に見える。


「豊作と不作」はあるが、8年空白があっても問題ないときもあれば、6年の空白でも明らかな空白に見える時もある。とはいえやはり、5年程度のブランクで実力者がどこからか出てこないことには円滑な世代交代は難しいように見える。


平成初期生まれを中心とする相撲の不作世代は空前の規模の不作になりそうで、それが白鵬世代の横綱が軒並み「出場回数」「勝利数」といった「長く続けた」系記録の保有者になっている背景にある(注:たとえば通算勝利数800回越えの力士が横綱として2人以上同時に在位したのは今の白鵬、日馬富士が史上初。稀勢の里も残り15勝で達成。通算勝利800回は過去14人が達成しているが引退圧力の強い、横綱まで到達しているのは過去5人のみ)ように見えるが、不作は終焉に向かってくれそうな気配もある。

てんそるたんの物理日記

つくばはKEKで理論物理をやってる学生。M2。 専門(?)は一応今は弱測定とか量子推定(になるのかなぁ?)。 微妙にストリングやってみたり、CFTやってみたり場の量子論いじってみたり、 Entanglement Entropyの界隈に首突っ込んでみたり気儘にやって大丈夫かお前って感じになってます。

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